XSR900は、その加速性能の高さから「速すぎる」と評されることが多いバイクです。
120PSを発揮する軽量な車体は、スロットルを開けるだけで鋭い加速を生み出し、ライダーに圧倒的なパワーを体感させます。
しかし、その一方で扱いにくさを感じる人もいるかもしれません。
また、XSR900はスポーツ性能だけでなく、長距離ツーリングにも対応できる装備を備えています。
クルーズコントロールや電子制御システムにより、高速道路での巡航も快適にこなせる一方で、硬めのシートや風防のないネイキッドスタイルが長時間の走行に影響を与える可能性もあります。
この記事では、XSR900が「速すぎる」と言われる理由や、長距離ツーリングに向いているのかどうかを詳しく解説します。
ポイント
- XSR900が速すぎると言われる理由と加速性能
- フルパワー化やリミッター解除の影響
- 長距離ツーリングの快適性と対策
- トラクションコントロールによる安全性
目次
XSR900は速すぎ?パワーと性能を徹底検証
- 馬力は?スペックを解説
- フルパワー化で馬力はどう変わる?
- 最高速は?リミッターカットの影響
- トラクションコントロールの設定と効果
- 満タンで何キロ走れる?燃費を検証
馬力は?スペックを解説
XSR900のエンジンは、水冷並列3気筒888ccのクロスプレーンコンセプトを採用しています。
このエンジンは120PS(約88kW)を10,000rpmで発揮し、最大トルクは9.5kgf・m(93N・m)を7,000rpmで発生します。
大型バイクの中では突出した出力ではないものの、軽量な車体(193kg)とのバランスによって、加速性能に優れています。
さらに、エンジンレスポンスが良好であり、スロットルを開けると素早く回転が上昇するため、スピーディな加速を楽しむことができます。
特に、中低速域でのトルク特性が良いため、街乗りやワインディングロードでも扱いやすいのが特徴です。
エンジンの特性上、発進時や低回転域からの加速でも力強さを感じられるため、渋滞時のストップ&ゴーでもストレスなく走行できます。
また、高回転域までスムーズに吹け上がるため、高速道路での巡航性能も高く、余裕を持ったライディングが可能です。
ただし、スロットルのレスポンスが非常に鋭敏であり、急なアクセル操作を行うと予想以上の加速をしてしまうことがあるため、慎重な操作が求められます。
また、最新のエンジン制御技術が採用されており、エコモードを選択することで燃費を向上させることも可能です。
これにより、スポーツ走行だけでなく、長距離ツーリングなどの用途にも適したバイクとしての実用性も確保されています。
フルパワー化で馬力はどう変わる?
XSR900のフルパワー化とは、リミッター解除やECUの書き換え、エキゾーストシステムの変更などを行うことで、本来のポテンシャルを最大限引き出すカスタムのことを指します。
これにより、加速性能が向上し、よりスポーティな走行が可能となります。
特に、ECUのチューニングによってスロットルレスポンスが改善され、アクセルを開けた際の反応がよりダイレクトになる点が魅力です。
フルパワー化によって、馬力が5〜10PSほど向上する可能性がありますが、それに伴い燃費の悪化やエンジン寿命への影響が懸念されます。
また、排気音の変化やエンジン負荷の増加による発熱量の上昇も考慮する必要があります。
冷却性能を高めるためにラジエーターの強化を検討するライダーも多いです。
さらに、公道では法規制の範囲内での改造が必要となるため、適切なパーツ選びと調整が求められます。
違法改造となる場合もあるため、専門のショップでの相談や、合法的に対応できるチューニング方法を選択することが重要です。
フルパワー化を施したXSR900は、サーキット走行などで本領を発揮する一方で、公道での使用には細心の注意が必要です。
特に、高出力のエンジンを持て余さないためにはライダーの技術向上も重要となり、トラクションコントロールやABSの設定を見直すことで安全性を確保することができます。
最高速は?リミッターカットの影響
XSR900の最高速は、リミッターが作動している状態では200km/h程度とされています。
リミッターカットを行うことで、220〜230km/h程度まで引き上げることが可能ですが、公道では安全面を考慮し、速度を抑えた走行が求められます。
特に、高速道路での巡航時には、安定性とブレーキ性能を考慮しながら走ることが不可欠です。
リミッターを解除することで、エンジンの回転数がより高回転域まで伸びるため、加速感が向上します。
しかし、その一方で燃費の悪化やエンジンの負担増加が懸念されます。
例えば、高回転を維持することでエンジン内部の摩耗が早まり、長期的な耐久性に影響を与える可能性があります。
また、エンジンオイルや冷却系統への負担も増えるため、定期的なメンテナンスがより重要になります。
さらに、リミッターカットによる最高速向上は、タイヤの耐久性やフレーム剛性の限界を超えるリスクも含んでいます。
高速域では細かい路面の凹凸が影響を与えやすく、安定性を確保するためにはサスペンションの調整やタイヤの適切な選定が求められます。
そのため、リミッターカットを考えている場合は、目的とリスクをしっかりと理解した上で、サーキットなどの適した環境で安全に楽しむことが大切です。
トラクションコントロールの設定と効果
XSR900には、トラクションコントロール(TCS)が搭載されており、ライディング状況に応じて最適なグリップ力を維持する役割を果たします。
TCSには3段階の設定があり、
TCS 1(スポーツ走行向け):高いスロットルレスポンスを維持しながら、最小限のトラクションコントロールを適用し、アグレッシブなライディングが可能になります。
TCS 2(一般的な路面向け):街乗りやツーリングに適したバランスの取れた制御を提供し、安定した走行をサポートします。
TCS OFF(すべての介入なし):ライダーの完全なコントロールに委ねられ、サーキット走行や経験豊富なライダー向けの設定となっています。
特に雨天や滑りやすい路面では、TCS 2を設定することで安全な走行が可能になります。
電子制御により後輪のスリップを適切に制御し、急な加速や路面の状態による不安定な挙動を防ぐことができます。
また、XSR900はIMU(慣性計測装置)を搭載しており、コーナリング中の姿勢変化もリアルタイムで検知します。
これにより、TCSがライダーの意図を反映しながら適切な制御を行い、安心してバイクを操作することが可能です。
一方で、サーキット走行などで最大限のパワーを引き出したい場合は、TCSをOFFにすることも選択肢の一つです。
ただし、TCSをOFFにした場合、バイクの挙動が大きく変わるため、ライダーの技量や路面状況を十分に考慮する必要があります。
高出力のエンジンをフルに活かすには、適切なライディング技術と安全な環境が求められます。
満タンで何キロ走れる?燃費を検証
XSR900の燃料タンク容量は14Lで、WMTCモードの燃費は20.4km/Lとされています。
これを基に計算すると、満タンで約280km程度の走行が可能です。
ただし、走行状況やライディングスタイルによって燃費は大きく変動します。
特に、高速道路での巡航時は燃費が良くなり、市街地走行やワインディングでの激しいアクセル操作が多い場合は、燃費が悪化する可能性があります。
XSR900は速すぎる?購入前に知るべきポイント
- 長距離ツーリングには向いているのか?
- 支払総額はいくら?コストをチェック
- Z900RSとXSR900 どっちがいい?比較ポイント
- カスタムで乗りやすさを向上させる方法
XSR900は速すぎ?に関する総括
長距離ツーリングには向いているのか?
XSR900は長距離ツーリングにも対応できる性能を持っていますが、いくつかの課題もあります。
走行性能や快適性の面で工夫をすることで、さらに快適なツーリングが可能になります。
メリットとしては、
軽量な車体で取り回しがしやすい
トルクのあるエンジンで長距離でも疲れにくい
クルーズコントロール機能があり、高速道路での負担が軽減される
燃費性能が比較的良好で、給油回数を減らせる
フレーム剛性が高く、安定感のある走行が可能
一方で、デメリットは
シートが硬く、長時間のライディングではお尻が痛くなる
カウルがないため、高速走行時の風圧が強い
純正サスペンションが硬めで、長距離の段差で疲労を感じやすい
ハンドル位置が低めのため、前傾姿勢が長時間続くと肩や首が疲れやすい
これらの点を考慮し、ツーリング用途での使用を考えている場合は、以下のカスタムを検討すると良いでしょう。
ゲルシートの導入:純正シートの硬さを和らげ、お尻の負担を軽減
ウインドスクリーンの装着:風圧を低減し、長時間の高速走行時の疲労を軽減
サスペンションの調整や交換:純正よりも柔らかめのセッティングにすることで、振動や衝撃を吸収しやすくする
ハンドルライザーの取り付け:ハンドル位置を調整し、前傾姿勢を緩和することで肩や首の疲れを軽減
パニアケースやタンクバッグの追加:荷物を適切に収納し、ライダーへの負担を減らす
これらの装備を加えることで、XSR900のツーリング性能をさらに向上させ、快適な長距離走行を実現できます。
支払総額はいくら?コストをチェック
XSR900の新車価格は1,254,000円ですが、諸経費を含めると総額は約140〜150万円になります。
これには登録費用、自賠責保険料、重量税、販売店の手数料などが含まれます。
場合によっては、オプションパーツやカスタム費用も追加されるため、実際の総額はさらに高くなることもあります。
中古車の場合、平均価格は100万円前後ですが、年式や走行距離、カスタム状況などによって価格が大きく変動します。
特に低走行の美品や限定カラーのモデルは高値で取引される傾向があります。
また、中古車購入時には整備状況を確認し、追加のメンテナンス費用が必要になる可能性も考慮する必要があります。
また、購入後の維持費も忘れてはなりません。
自動車税(年間6,000円程度)、任意保険(年間3〜10万円)、定期メンテナンス(オイル交換やブレーキパッド交換など)、タイヤ交換(数万円)などが発生します。
さらに、長距離ツーリングを頻繁に行う場合は、燃料費やメンテナンスの頻度も増えるため、維持費はより高くなるでしょう。
このように、XSR900を購入する際には、車両価格だけでなく、諸経費や維持費もしっかりと考慮することが大切です。
Z900RSとXSR900 どっちがいい?比較ポイント
Z900RSとXSR900は、どちらもネオクラシックスタイルのバイクとして人気があります。
それぞれ異なる魅力があり、ライダーの好みや用途に応じて選択することが重要です。
デザイン重視ならZ900RS:Z900RSはクラシックなデザインが特徴で、レトロなスタイルを求めるライダーに人気があります。タンクのフォルムやメッキパーツの使用が、往年のバイクの雰囲気を再現しています。
走行性能重視ならXSR900:XSR900は軽量で加速力に優れており、スポーティな走行を楽しみたい人に適しています。クロスプレーンコンセプトのエンジンにより、トルクフルな加速が可能です。
XSR900の方が車重が軽く、加速時のレスポンスが良いため、ワインディングや街乗りでは優れた運動性能を発揮します。
一方で、Z900RSはしっかりとした車体剛性と安定感があり、ツーリング時の疲れにくさや長時間の乗り心地に優れています。
また、Z900RSは比較的穏やかな特性のエンジンとサスペンションを備えており、初心者やゆったりとした走行を好むライダーに向いています。
XSR900はよりスポーツ走行向けの特性を持っており、クイックなハンドリングを楽しめるため、経験豊富なライダーにも満足感を提供します。
さらに、カスタムのしやすさも考慮すると、Z900RSはクラシックなスタイルを活かしたカフェレーサーカスタムが人気です。
一方で、XSR900はモダンでスポーティな方向性のカスタムがしやすく、ストリート仕様やサーキット向けに仕上げることも可能です。
カスタムで乗りやすさを向上させる方法
XSR900は優れた走行性能を持つ一方で、カスタムを施すことでさらに快適性や乗り心地を向上させることが可能です。
特にツーリングや長距離走行を考えている場合、以下のカスタムを検討するとよいでしょう。
ウインドスクリーンの装着で風圧軽減
XSR900はネイキッドスタイルのため、高速道路や長距離走行では風圧の影響を強く受けます。ウインドスクリーンを装着することで、風の抵抗を軽減し、上半身の疲労を抑えることができます。
また、スクリーンの高さや形状によって防風効果が異なるため、自分のライディングスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。
シート交換で快適性向上
純正シートは比較的硬めの作りになっており、長時間のライディングではお尻や腰に負担がかかりやすいです。ゲルシートや低反発クッションを使用したカスタムシートに交換することで、振動吸収性が向上し、快適に走行することができます。
また、シート高を調整できるモデルもあり、足つきの改善にも役立ちます。
サスペンション調整で乗り心地改善
XSR900の純正サスペンションはスポーティな特性を持つため、硬めに設定されています。これにより、荒れた路面では衝撃を強く感じることがあります。
プリロード調整や社外製サスペンションへの交換を行うことで、路面のギャップを吸収しやすくなり、乗り心地を向上させることが可能です。
特に、ツーリング用途では柔らかめのセッティングにすることで、長距離走行時の疲労軽減につながります。
グリップやレバーの交換で操作性向上
長距離ライディングでは、手の疲労も無視できません。より握りやすいグリップや軽い操作感のレバーに交換することで、手の負担を軽減し、操作性を向上させることができます。
特に、クラッチレバーの軽量化は渋滞時や市街地走行でも快適さを高めるポイントです。
XSR900は速すぎ?に関する総括
記事のポイントをまとめます。
- XSR900は120PSのパワーを持つ軽量なスポーツバイク
- 加速性能が高く、スロットルレスポンスが鋭敏
- 中低速域のトルク特性が良く、街乗りも快適
- フルパワー化で馬力が向上するが、燃費と耐久性に影響あり
- リミッターカットで最高速が向上するが、エンジン負担が増す
- トラクションコントロールは3段階で調整可能
- IMU搭載により、コーナリング時の安定性が向上
- 燃費は平均20.4km/Lで、満タンで約280km走行可能
- 長距離ツーリングは可能だが、シートの硬さが課題
- カウルがないため、高速走行時の風圧を受けやすい
- 新車価格は約125万円で、維持費も考慮が必要
- Z900RSと比較すると、スポーツ性能ではXSR900が優位
- カスタムで快適性を向上でき、ウインドスクリーンが効果的
- 純正サスペンションは硬めで、調整や交換で改善可能
- クルーズコントロール搭載で、高速巡航が快適